テストプレイ
パンフレットによると、この水族館は本館、ふれあい館、お魚釣りパークの3つの建物に分かれているようだ。


「最も効率的のは本館、お魚釣りパーク、ふれあい館の順に周るルート。」


同じ様に入り口のゲート付近でパンフレットを見ていたリヒトが距離や広さから計算して最も効率的なルートを割り出した。
こういう時、あっちこっち行くよりも正確なものを出してくれるアンドロイドの頭脳はすごく頼りになる。


「…僕は“楽しい”っていう感情は知識でしか知らない。
でも僕は知りたいと思ってる。
…人間には喜怒哀楽があって、泣いたり笑ったり、怒ったりするんでしょ?
僕もそれをしてみたい。

だから、雛乃とここに来た。

その価値はここにある?」


真っ直ぐな瞳で問うリヒト。


「そう思えることはもう十分人間らしいと思うよ。
それに、そんな難しく考えないでも色んなことが感覚でわかると思う。」

「感覚、か…」


きっと感覚で、ということがイマイチしっくりこないんだろう。


「えっと、頭で感情を考えるって言うより、感覚で感情を感じる…そういうことかな。
とりあえず、今日めいいっぱい水族館を楽しめば少しは分かるかもしれないし、行こう?」


真っ直ぐな瞳で「僕も泣いたり笑ったりしたい」そんなことを言われたらなんとしてでもリヒトの楽しむ顔がみたくなってしまう。

きっと素敵な笑顔なんだろうな、そう想像しながらリヒトの手を引き歩きだした。
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