Butterfly
一瞬、何が起きてるのかわからなかった。
智樹の唇とあたしの唇が少し強引に重なった。
『・・んっ、とも・・』
『好きや・・千穂』
頭が真っ白になって
めまいがした。
智樹の舌があたしの唇をこじ開けなかに入ってくる。
『んんっ、・・嫌っ!』
必死に抵抗して智樹を突き放した。
次の瞬間ドン、という鈍い音がしてびっくりして振り返った。
飛呂が壁を思い切り叩いた音だった。
『智樹・・今なにしたん?』
いつもの笑顔で穏やかに聞くけど目が全然笑っていない。
『・・飛呂、』
『何したんって聞いてるんよ!』
『・・・・。』
『もぅ、ええ。千穂、行くで。』
知らない間に涙を流してしゃくりをあげていたあたしは飛呂についていくしかなかった。