よくばりな恋 〜sweet sweet Valentine〜


「どないする〜?翠ちゃん、プリンスったらもう朝から抱えきれないほど貰ってるかもよ〜」

「ん〜・・・・・そうかも」

野口さんの腕を外して書類の整理を始める。

「おや余裕?」

「余裕はないですけど・・・・・でも事実は受け止めてますから」

そう、わたしという存在ができても相変わらず彼の人気は衰えない。

「翠ちゃんがちょっと強く主張したらええのよ、『人のモノに手を出さんとって』って」

「そうですよねー、長瀬さん。翠ちゃんお人好し過ぎるから」

曖昧に笑う。

「ちょっと病棟行ってきます」

逃げるように部屋を出て溜息ひとつ。


腕のいいドクターで、次期院長の椅子が約束されていて、長身の美形。欠点を探す方が大変。モテない訳が無い。

なんでわたしなんかの隣にいてくれるんだろうと時々不安と疑念が心に影を落とす。



でも

わたしは大好きだから。



沈みそうになる気持ちを奮い起こして足を踏み出し廊下を階段に向かうと、少し先に白衣の2人。


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