よくばりな恋 〜sweet sweet Valentine〜
さっき聞いた会話の内容にショックを受けつつも海斗さんに辛うじて笑顔を向ける。
「かまへん、しょうもない世間話や」
口角を僅かに上げた、思わず見蕩れてしまうほど艶やかな表情。いつまでたっても慣れなくて、きっと何度見てもわたしはその度に馬鹿みたいに見入ってしまうんだろう。
「・・・・・翠」
先生に腕を取られ、すぐ側の面談室に連れ込まれた。
「・・・・・?あの・・・・・?」
壁に背を押し付けられて上から困ったような顔をした海斗さんに見下ろされる。
「あのな、翠」
「・・・・・はい?」
「その大きな目を潤ませて上目遣い止めろ」
「え、あのーーーんンっ!?」
唇を塞がれた。
首筋をさわさわと撫でられて擽ったさに思わず声を漏らすと、緩んだ口からぬるりと海斗さんの舌が侵入してくる。
すぐに自分の舌が絡み取られ、くちゅくちゅと音がして羞恥心を煽られ、職場でこんな行為に溺れている背徳感が増していく。
海斗さんの白衣をキュッと掴んだ。
するりと舌が解放される。
酸素を胸にたっぷり取り込むように大きく息を吸い込んだ。
「相変わらず鼻呼吸が下手やな」
可笑しそうに言う海斗さんに頭を白衣の胸に抱えられる。