よくばりな恋 〜sweet sweet Valentine〜
仕事終わりでもピンクのルージュがツヤツヤと光るぷっくりとした唇にちはやさんが笑みを浮かべた。
耳元で小さな声でちはやさんが何やら囁く。
その内容に驚愕し、暫くの間言葉が出ない。
頑張ってね〜と指先まで綺麗な手をヒラヒラと振るちはやさんを呆然と見送った。
それでも待たせたら悪いと思い、駐車場まで足を動かす。既に海斗さんの車が止められていて、助手席の窓をコンコンと叩くと運転席から向けられる笑顔。
「お待たせしてすみません」
「時間ぴったりやろ」
車に乗り込むと温かい空気にホッとした。
「家の近くのスーパーでええか?」
「はい」
わたしの頬を左手の甲でちょんと触ってから海斗さんが車を出した。
スーパーではカートを海斗さんが片手で押し、空いたもう片方の手はわたしの手を握る。
海斗さんがどんどん甘くなる。
恋愛経験値が圧倒的に違う海斗さんについていけてるのだろうか?
貰う愛情の分以上に返したいと思うのに、いつもオタオタしてしまう。