不思議な眼鏡くん
それから長いキス。優しく深く絡まって、体が熱くなってくるのがわかった。
互いの体に腕を回して、抱きしめる。髪を、首を、背中を指が触る。呼吸が早くなってくる。

「抱きたい」
響が囁いた。

「うん」
咲は応える。

「今度は時間をかける」
響はそういって、布団の中に潜り込んだ。

響の首から流れる汗。
時たま漏れる呻きの声。
徐々に熱が高まって、お互いの手を握りしめるその強さ。

すべてが咲のなかに記憶として重ねられていく。

堪えるような、その顔が愛しい。

二人は時間の許す限り、ゆっくりと愛し合った。

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