不思議な眼鏡くん
第四章
一
出社すると、開口一番「昨日はどうしてこなかったんですか?」とちづに尋ねられた。
「ごめん、用事を思い出して」
咲は素知らぬふりで、バッグをデスクに置いた。
「楽しかった?」
「楽しかったですよ〜。芝塚課長の奥様の話、きいちゃいました」
あまり反応のない咲に、ちづが少し首をかしげる。
「そういえば昨夜は、鈴木主任が最後でした?」
「……そうだけど?」
「朝出社したら、内鍵がかかってて入れなかったらしいんですよ」
「内鍵が?」
営業部は外側からかける鍵と、内側からかける鍵がある。
「だから、管理の人を呼んでドタバタしたって、言ってましたよ。鈴木主任、どうやって戸締りしたんです?」
「普通に……」
でも咲にはその記憶がない。実際に鍵をかけたのは、おそらく響だ。
「しかも、営業二課の部分の電気が、全部飛んじゃってたって。ついさっき、全部の蛍光灯、取り替え終わったんです」
ちづが上を指差しながら言った。
電気は、途中から真っ暗になったような……。でもあのときはそれどころじゃなかったから。
突然心臓が脈打つ。顔がカッカッとしてきて、慌てて手で仰いだ。
「ごめん、用事を思い出して」
咲は素知らぬふりで、バッグをデスクに置いた。
「楽しかった?」
「楽しかったですよ〜。芝塚課長の奥様の話、きいちゃいました」
あまり反応のない咲に、ちづが少し首をかしげる。
「そういえば昨夜は、鈴木主任が最後でした?」
「……そうだけど?」
「朝出社したら、内鍵がかかってて入れなかったらしいんですよ」
「内鍵が?」
営業部は外側からかける鍵と、内側からかける鍵がある。
「だから、管理の人を呼んでドタバタしたって、言ってましたよ。鈴木主任、どうやって戸締りしたんです?」
「普通に……」
でも咲にはその記憶がない。実際に鍵をかけたのは、おそらく響だ。
「しかも、営業二課の部分の電気が、全部飛んじゃってたって。ついさっき、全部の蛍光灯、取り替え終わったんです」
ちづが上を指差しながら言った。
電気は、途中から真っ暗になったような……。でもあのときはそれどころじゃなかったから。
突然心臓が脈打つ。顔がカッカッとしてきて、慌てて手で仰いだ。