不思議な眼鏡くん
突然、携帯の着信が鳴った。

「あ、電話」
咲は少し体を起こした。

「でなくていいだろ」
響が咲を引き戻す。

「誰かってだけ、確認」
咲は体をねじってうつ伏せになり、ベッドサイドに手を伸ばした。

表示を見て「お母さん、だ」と言う。

再び携帯を置こうとしたら、響が背筋ににキスし始めた。腰あたりから始まって、徐々に上に。咲の体の真ん中をまっすぐ、上がっていく。

「ん……」
咲は思わず声を漏らした。

「電話、出てもいいよ」
響がそんなことを言ってくる。

「何、言って……っ」
声を我慢できない。その愛撫にしびれる。

響の手が咲の首をしたからなぞり、長い髪をその指で寄せる。それから首筋にキス。

咲はシーツをぎゅっと掴んだ。

「俺の痕をつける」
響が首の後ろあたりに強くキスをする。

「待って、つけないで、痕」
息も絶え絶えに、咲は抗議した。

「なんで?」
「他の人に、み……見られる、から」
「いつか消えるよ」
響がいう。

「いつか消えるものだから。今は俺の咲だって、残させて」
そして再び強くキスをした。
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