不思議な眼鏡くん
三
扉が閉まると、生まれて初めての空間に立っていた。
部屋の大半を占める、大きなベッド。青白い明かり。
ベッドの脇に立つ響が、動けない咲を振り返った。ジャケットを脱ぎベッドに放り投げる。
それから、ネクタイを指で緩めながら、咲のところへ戻ってきた。
髪をかきあげる。
彼の黒い瞳。
吸い込まれる。
咲は頭が朦朧としていて、自分の状況が理解できていなかった。
「優しくするよ」
響が咲を見下ろす。彼がこんなに背が高いだなんて、気づいてなかった。
「最初は、ね」
咲の首の後ろに手を入れた。
「わっ」
思わず大きな声が上がる。
響が笑った。
その笑う頬の上げ方が、会社のそれとは全然違う。
咲を混乱させ、動揺させ、誘惑する。
「俺、シャワー浴びてきてもいい?」
咲の耳のすぐそばで、響が尋ねた。
空気を振るわせる声の振動に、背中がぞわぞわしてきた。とっさに自分の耳をかばう。
響はまた軽く笑うと、咲の返事を待たず、ベッド脇のバスルームへと入っていった。
部屋の大半を占める、大きなベッド。青白い明かり。
ベッドの脇に立つ響が、動けない咲を振り返った。ジャケットを脱ぎベッドに放り投げる。
それから、ネクタイを指で緩めながら、咲のところへ戻ってきた。
髪をかきあげる。
彼の黒い瞳。
吸い込まれる。
咲は頭が朦朧としていて、自分の状況が理解できていなかった。
「優しくするよ」
響が咲を見下ろす。彼がこんなに背が高いだなんて、気づいてなかった。
「最初は、ね」
咲の首の後ろに手を入れた。
「わっ」
思わず大きな声が上がる。
響が笑った。
その笑う頬の上げ方が、会社のそれとは全然違う。
咲を混乱させ、動揺させ、誘惑する。
「俺、シャワー浴びてきてもいい?」
咲の耳のすぐそばで、響が尋ねた。
空気を振るわせる声の振動に、背中がぞわぞわしてきた。とっさに自分の耳をかばう。
響はまた軽く笑うと、咲の返事を待たず、ベッド脇のバスルームへと入っていった。