不思議な眼鏡くん
咲は、恐る恐る主電源を入れ直した。

ブーンと音がして、パソコンが再起動する。

どうか、消えてませんように。

ガリガリガリガリ。

突然、本体から異音が響き渡った。ポーンと起動音がしたあとで、ガリガリ音がする。それからまた起動音。それを繰り返す。

パソコンが必死に起動しようとしてる感じだ。

「うそでしょ……」

何度も主電源を入れ直した。机の下に潜って電源ケーブルを抜いたりした。

それでも症状が変わることはない。

わらにもすがる思いで、システム管理部に内線をかけてみる。

午後十一時。
いるわけがなかった。

咲は椅子の上に、力なく座った。

大事な書類は部内サーバーにあげてあるから大丈夫だ。でも今作成したばかりのプレゼン資料はそこまで行ってない。

一からやり直し。

机にツップする。
静かなオフィス。自分の汗が流れる音がする気がする。

「やるしかない。いつものわたしなら一時間あれば終わる。大丈夫」
小さく呟くが、なかなか顔を上げられない。

打ちのめされた。

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