不思議な眼鏡くん
打ち合わせを終えて席に戻っても、まだ気持ちが興奮して、ふわふわしている。

「どうでした?」
ちづが心配そうに声をかけてきた。

「東洋百貨店の件じゃないから、安心して。新しい話よ。これからちょっと打ち合わせをしましょう」
咲は芝塚課長からもらった書類を机に置くと、そう言った。

この信頼を裏切れない。シュレッダーのことは、やっぱりわたしが一人で処理しなくちゃ。

咲は、先ほどの細切れになった書類を再度手に取ろうと、意を決して引き出しを開けた。

「あ……れ?」
思わず声が出る。

「どうしたんだ?」
樹が訝しげな声を出した。

「あ、ううん。なんでもないの」
咲は慌てて首を振る。そうしながらも、咲は半ば呆然としながら引き出しの中から目が離せない。

「この間の改善要望書ですね」
隣の響が咲の手元を覗き込んでそう言った。

「ええ、そう……」
咲の頭は混乱していた。中には、キレイな改善要望書が入っていたのだ。

さっき、シュレッダーにかけたのは、別の書類だった?
わたしの勘違い?
でも、細切れになった紙に印字されていたのは、この書類だったはずなのに……。
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