不思議な眼鏡くん
ゆっくりキスをされる。最初は軽く。それから頬を両手で包まれた。

いや、包まれるというよりは、支配されるという感じがした。それぐらい力強く引きつけられる。まるで食べられてしまうぐらいに、貪欲に舌を入れられた。

自分がどうなってしまうのか、想像できない。とうに未経験の域に突入している。

ベッドに倒れ込んだ。咲は響の背中のシャツを握りしめる。

おかしくなりそう。
息が……できない。

そこでふっと、響の体重が軽くなった。

「ああまずい」
響が照れたような顔をした。「がっついちゃった」

「ごめん。優しくするから」

それから、再びキスをした。

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