眼鏡とマスク
眼鏡とマスク
学校へ行ったら。
隣の席の男子がぐったりしてた。

……マスク。
いつもはない、黒縁眼鏡。

「どうしたの?」

「風邪ひいた。
ちょっと熱っぽいっていうのに、お母さんが学校行けってうるさいから……」

……“お母さん”。

いつもは“かあちゃん”とかいってる彼からそんな言葉。
きっといつもは家で、お母さん、って呼んでるんだろうな。
なんかちょっと、微笑ましい。

けど、そんなことにもかまってられないくらいだなんて、ちょっと心配。

「……マスク最悪。
眼鏡曇る」

つらそうに吐き出された彼の息で、眼鏡は曇ってる。

……というか、コンタクトはどうしたの?

「もう今日だるくて、コンタクト入れる気力がなくてさ……」
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