なにがどうしてこうなった!?
ちょっと怖くて後ずさりを2歩ほどしたら、トンっと背中が壁に当たった。
「ねぇ、どうしたの?」
私が聞くとやっと口を開いた。
「夕方の時も言おうと思ったんだけど。
美咲ちゃんはさ、自分が女の子って自覚ないのかな?
危ない目にあっても大丈夫って?
じゃあさ、振りほどいてみてよ。
強そうに見えない俺なら楽勝でしょ?」
言われた通りに振りほどこうとするけど、力が強くて全く動かせない。
え?そんなに力込めてる感じじゃないのに……!
普通に振りほどこうとしてもダメで、ひねろうと思ってもひねる前に腕がピタッと止まり動かせない。
少しだけ、襲われたあの日のことがフラッシュバックする。
私は込めていた腕の力を抜いた。
「……離して」
目線を下ろし、静かに言う。
怖いけど、なんだか……悔しい。