なにがどうしてこうなった!?
ぐるぐる考えていると、紗綾が顔を近づけてきて、ボリュームを下げて話し始めた。
「それより、美咲さ、最近幼なじみくんへの拒絶反応なくなってない?
んー。なんか……むしろ、もっと……」
「ちょ、ちょっと待って!
それ以上は言わなくていい」
不安なんて一気に吹っ飛んだ。
な、なんてことを言うんだ。
急に顔を近づけて、声のトーンを下げたかと思ったらなんてことを聞いてくるんだ。
最近自分でも、少し前と違うことがわかってきてる。
それを、人に言われるのは恥ずかしすぎる。
「まぁ、前よりは……いやじゃないだけ……」
言葉が上手く出てこない。
「ふーん」
ちょっと、ニヤニヤしてこっちを見ないでよ。
「まぁ少しは進展したと」
「……進展って。
そんなんじゃない。
……もうこの話は終わり!」
コソコソを話しているとはいえ、隣に聞こえたらたまったもんじゃない。
隣をちらっと見ると、目が合ってしまった。
まさか聞こえてないよね……?
目が会った瞬間、笑顔になった相手を無視し、即目をそれした。
それから数分後、出発時刻になりバスは発車した。