なにがどうしてこうなった!?

紗綾を引っ張った反動で、今度は私が坂側に投げ出された。

どんどん斜めっていく体。

あぁなんだか、この感覚、前にもあったな。

キャンプで石に滑って転びそうになってるところを、亮ちゃんが引き戻して助けてくれたんだっけ。

でも今は亮ちゃんはいない。

目の前の紗綾の悲痛な顔だけが見えた。

あとは何も見えない、聞こえない……。

遠ざかっていく紗綾の顔がやけにスローモーションに見えた。

そんな顔しないで、無事で良かった。

紗綾の言ったとおりだった。

やっぱりここにするんじゃなかったね。

リュックごしに背中に衝撃がはしった。

頭は腕でカバーする。

なんとか止まろうと足を踏ん張ってみるも止まることなくどんどん身体は斜面を転がっていく。

あぁ、私、死ぬ……のかな?

こうなるんだったらもっと素直になっていればよかったのかもしれない。

両親、友達、そして、あの人の顔が頭をよぎる。

……そして意識が途切れた。

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