なにがどうしてこうなった!?
握られた手をゆっくり開くと、そこには見覚えのあるヘアゴムが握られている。
「まだ持っていてくれたんだ……」
あの頃よりも少し色あせたそのヘアゴムがとても愛おしく感じた。
ずっと大切にしていて、持っていてくれたことが分かる。
守るって誓ったのに守れなくてごめん。
美咲の目は雨でなく、涙でぬれていた。
「そばに居なくてごめん。
痛かったよね。
怖かったよね」
優しく抱きしめる。
一刻も早く運ばなくては。
どういう状態かはっきりと分からないから、あまり振動を伝えたくなかったが何とか体制を変えて、美咲を背負う。
そこで、呼びかける声が聞こえた。