なにがどうしてこうなった!?
「これ……」
「ああ、ここに来るまで大事そうに持っていたみたい。
ずっと大切に持っていたんだね。
これで髪結んで、って毎日嬉しそうに言っていたもんね」
私の目線から察したらしいお母さんが言う。
これはいつもお守りとして持ち歩いていた。
これがあればいつも何とかなるって思いになれて、そしていつもなんとかなってきた。
今回も守ってくれたのかな。
これをくれたあの人は、今、何をしているのかな。
目が覚めた時、人影が一ついかないのが少し寂しかった。
求めた人がお父さんでも、裕也でも、かばった紗綾でもないあの人だと言ったら薄情だろうか。
「美咲が目覚めるまでずっとここに居るって亮くん言っていたんだけど、美咲のこと山で探して、見つけてくれたみたいでね。
結構ボロボロの格好していたから一旦着替えてきなさいって帰らせたの。
そのうち戻ってくるよ」
「そっか」
——そばにいてくれたのか。
ふっと自然に自分の頬が緩むのを感じる。
想うだけでこんなにも温かい気持ちになれるのか。