なにがどうしてこうなった!?
心の中で自分の思いを確かに感じていると、お医者さんがやってきて診療をしてくれた。
足は幸いねん挫で済んだようで、安静にして入れは1週間ほどで治るらしい。
何のため頭に異常がないかを検査するために明日まで入院することになった。
先生の診察を終えて、リクライニングベッドの頭を高くしてお母さんと話していると廊下からパタパタとあわただしい足音が聞こえる。
「走らないでくださーい!」
というお決まりともいえる看護師さんの声が聞こえた。
全く病院で走るとはどんな不届きものだと思ったら、
「すみません!」
と謝る声はとても聞きなれた、いや、聞きたかった人のものだった。
「あ、亮くん帰ってみたいだね」
「うん」
一見不愛想そうに答えるも、お母さんはフフッと笑った。
「全く、嬉しそうな顔しちゃって」
コンコンッと扉がたたかれる音がする。
ああ、今扉の前にいるんだ。
「うん、嬉しい」
珍しく娘が素直に答えたのに対してお母さんは驚いた顔をしていた。
たまには私だって素直にならないとね。
「どうぞ」
許可の声掛けと扉が開くのはほぼ同時だった。