なにがどうしてこうなった!?
「美咲! 目が覚めたって……!」
入ってきた、私が求めていた人と目線が交わる。
やっと会えた。
一番最初にそう思った。
もっと見ていたいのに、目の前の人がどんどん近づいてきてしまいには抱きしめてくるものだから、視界ではなく温もりで感じなくてはいけなくなった。
「うん、おはよう」
こちらを気遣いながら優しく回される腕にそっと手を添える。
「……心配した」
そう言った亮ちゃんの声と体は少し震えていた。
「下のコンビニ行ってくるね」
お母さんはそれだけ言うと椅子から立ち上がり部屋から出ていった。
……そういえばお母さんがいたんだった。
なにこれ、なんか急に恥ずかしい。
親にこういうところを見られるほど、恥ずかしいことはほとんどない。
お母さんが気をつかって出て行ってくれたから今はもう誰もいない。
普段ならこの時点で離れてって言うけど、まだこの温もりを確かめていても許されるだろうか。