なにがどうしてこうなった!?
すかさず亮ちゃんの胸に手を置き制止させる。
「ちょ、ちょっと待って!?」
「嫌なら言って」
嫌がることはしないって……。
こういう手法でくるの?!
「嫌じゃないけど……」
私だってしたいに決まっている。
「じゃあ止めないで」
いやでもさ。
「心の準備って言うか!」
「美咲、お願い」
「うー!」
さっき結ばれたばかりのカップルの会話とは思えない。
もう覚悟を決めて目をつむるしかないと、軽く押していた胸の手の力を緩める。
目をつむる前に見た、亮ちゃんの顔は愛おしい物を見るような優しい顔をしていた。
ああ、もうすぐ触れて——。