なにがどうしてこうなった!?
泣きそうになった。
目が熱くて、痛くて。
でも、そんな時今まで泣いていた男の子が泥んこまみれになったヘアゴムを水たまりの中からとって、
「ボクのせいでごめんね」
と言ってヘアゴムを私に差し出してきた。
その子の顔を見るといじめられていた時は思いっきり泣いていたのに、
この時だけは目にいっぱいの涙を溜めても涙を流さないし、嗚咽も出さないで耐えていた。
そんな男の子を見て心配をかけちゃダメだって思った。
あの時の私にはきっと泣く資格はあったと思うけど、泣いたらその子がもっと苦しくなると思った。
まぁあの時は、なんかわかんないけど泣いじゃダメだって思っただけでこれは後付けなんだけどね。
でもきっとそういう気持ちだったんだと思う。
だから、
「だいじょうぶ、だよ。
とってくれて、ありがとう」
と、言って泥まみれになった蝶々のヘアゴムを受け取った。
笑顔で言えてたと思う。
そしたらその子は首を振った。
「ううん。
ボクのこと、たすけてくれてありがとう。
ボクね、リョウって言うんだ。
君のなまえをきいてもいい?」
「もちろん!
あたしはミサっていうの。
リョウくんよろしくね」
そう、この男の子が亮ちゃんだ。
私が差し出した手に亮ちゃんもおずおずと手を伸ばし、握手をした。
そして、これが亮ちゃんとの1度目の再会だった。
まあ再会と言っても小さい頃の遊んでた記憶はないから出会いと言ってもいいのだが。
そして、その後帰る時に同じマンションだったことにびっくりしたのは余談である。