なにがどうしてこうなった!?
服を着て、“女湯”ののれんを潜り休息所の隣を歩くと、
「美咲ちゃん」
と声がかかった。
「亮ちゃん、待ってたの?」
ただびっくりして言っただけだったが、亮ちゃんには素っ気なく聞こえたかもしれない。
「え?うん。嫌だった?」
亮ちゃんが少しシュンとしてしまった。
「い、いや別に嫌じゃないよ。
ただ聞いただけ」
すぐに私が嫌じゃないと伝えると、
「そっかー!じゃあいこっ」
とテンションが明らかに上がった。
犬か!
不覚にもキュンとしてしまった自分を殴りたい。
『ところで美咲ぁ、亮くんとはどうなってんのぉ?』
記憶から消し去ろうとしていた言葉が脳裏をかすめる。
別にどうなってもない。
と思いながらも少し体温が上がったのが分かる。