黄金の都
ギィside

美しく飾られた大広間。

真ん中に座るのは第一王女サラディア様とお相手のケルヴィン様。

ケルヴィン様はエウトロンの国王。

見るからに優しそうなお方だ。

隣にいるイリアを盗み見るとできるだけ見ないようにしているのが分かった。

タルハーミネはというと国王アリドロスの隣で澄まし顔で座っている。

見回しているうちに曲が始まり踊り子の奴隷たちが舞い始める。

歌い手は俺一人。

ケルヴィン様とサラディア様の前に出て歌い始めた。


          ・
          ・
          ・


    この砂漠のどこかに

  誰もが幸せになれる国があるという

    黄金の都 エウトロン

   天の祝福を受け輝く宮殿

  この罪さえ許されるのだろうか




    この砂漠のどこかに

  誰もが愛し合える国があるという

     愛の都 エウトロン

   人と人が永遠に愛し合える国

     全ての愛が実る国

    運命さえも打ち砕けるのか

          ・
          ・
          ・



使者「いかがでしたでしょうか?
この歌はここにおられるアリドロス様が若かりし頃に作られた歌なのでございます。」

奴隷の功績は主人のものになる。

これは紛れもなくテルマーヤが作った歌だ。

アリドロス様を思って作った歌。

アリドロス様には想いは伝わったのだろうか?




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