一匹少女が落ちるまで
「…あの、桜庭くんはどうしてここにいるんですか」
桜庭くんは私がそう聞くと「俺の名前知ってんだ〜」と嬉しそうに話し続ける。
本も読まず、勉強もしないのに、一体何が目的でここにいるんだろうか。
「暇つぶしだよ。部活やめたからさ」
…なるほど。
そう言われて、彼の行動が少し納得できた。
クラスで孤立している私に突然話しかけてきたのも、いきなり唇を重ねてきたのも「暇つぶし」か。
とんだ迷惑だ。