一匹少女が落ちるまで
「赤羽!」
俺は彼の背中にそう声をかけたが、振り向いてくれない。
絶対、聞こえているはずなのに。
「赤羽!お前さ、去年の3年の女子に知り合いとかいた?」
それを聞くことが、赤羽が勉強してくれることに繋がるかどうかは分からなかった。
正直、なんとなく聞いてみた。
それが1番だ。
それなのに。
赤羽は今までにみたことない不機嫌な顔をして振り返ると、俺の元に歩いてきて。
「…なにも詮索すんな」
聞いたことのない低い声で俺の耳元でそう言うと、彼は校舎を後にした。