一匹少女が落ちるまで
「じゃあ…赤羽、勉強してくれるってことでいいんだな?」
「あぁ。あんな風に家の前で待ち伏せされたりするのはごめんだからな」
「そっか…」
俺はそう頷いて紫月の顔を見るが、紫月はもう本を読むのに集中してこちらをみてはいなかった。
彼女は今、どう言う気持ちなんだろうか。
紫月が俺のことを助けてくれたのか、なんて。
また都合のいいように考えそうになる。
まさかね。
現に彼女はしっかりと俺が邪魔をするからと言ったじゃないか。
それなのに。
心のどこかで。
髪の毛を耳にかけた紫月を見つめて。
俺のためだったらいいのになんて思う。