一匹少女が落ちるまで
「あんたの兄貴はいっつも愛しの彼女を置いてフラ〜ってどっか行っちゃうんだから〜」
そういう彼女の顔を見ずに、彼女の手が隠れたスウェットの袖をジッとみる。
きっと兄貴は今、昼飯でも買いにコンビニに出かけただろう。
さっき、バタバタと出かける音が聞こえた。
ということは、兄貴が帰って来るまで、彼女と2人きり。
「あのさ、絢…」
自分でも、何をいうのかなんて考えてない。
ただ、彼女の名前を呼びたくて仕方なかった。
「ん?」
彼女の胸元なんかに目がいって、胸元まであるサラサラの栗色の毛先が、また俺をおかしくさせて。