一匹少女が落ちるまで
「…絢……俺…」
──────ガチャ
……!!
玄関のドアが開く音が開いたかと思ったら、ドタバタと雑な足音が家中に響いた。
「司、帰ってきたみたい!」
絢は嬉しそうな声でそういうと、俺の部屋からさっさと出ていった。
「…あれ…絢?絢?」
「ここだよー!」
廊下から2人の会話が聞こえる。
自分の部屋で寝ていた彼女が突然消えたのを心配した彼氏と、そんな彼氏をずっと待っていた
彼女。
「財布忘れたの途中で気付いてさ…絢も行く?」
「うんっ!行きたい!」
どう考えても、どう見ても。
兄貴と絢はお似合いだ。
悔しいくらい。
愛し合っている。