一匹少女が落ちるまで


「…絢……俺…」


──────ガチャ


……!!


玄関のドアが開く音が開いたかと思ったら、ドタバタと雑な足音が家中に響いた。



「司、帰ってきたみたい!」


絢は嬉しそうな声でそういうと、俺の部屋からさっさと出ていった。



「…あれ…絢?絢?」


「ここだよー!」


廊下から2人の会話が聞こえる。



自分の部屋で寝ていた彼女が突然消えたのを心配した彼氏と、そんな彼氏をずっと待っていた
彼女。



「財布忘れたの途中で気付いてさ…絢も行く?」


「うんっ!行きたい!」


どう考えても、どう見ても。


兄貴と絢はお似合いだ。


悔しいくらい。


愛し合っている。



< 111 / 487 >

この作品をシェア

pagetop