一匹少女が落ちるまで


「…去年、3年生の女の人と話していた赤羽くんをたまたま見かけました」


……!


彼女のセリフに俺の胸がドキンと鳴る。


そうか。


桜庭、雨宮から聞いたのか。



「だから何?」


平然を装ってそう聞く。


「あの時、あの人と話していた赤羽くんは…すごく、すごく幸せそうでした」


「……」


「もし勉強しなくなったのがあの人が理由なら…」



どうして雨宮は。
俺がずっと隠してきた気持ちを。
いとも簡単に見抜けるんだ。


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