一匹少女が落ちるまで
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「あ、もしもし赤羽くん。雨宮ですが。先日の件なんですが、考えてくれましたか?」
「雨宮ですが、あなたが勉強してくれないならずっとかけ続けますよ」
おかしなことをしているのは、自分が1番よくわかっている。
だけど。
私は赤羽くんが「わかった」と言ってくれるまで、電話をかけるのをやめなかった。
そしてとうとう。
『…わかったから。お願いだから、夜中に電話かけるとかやめろ』
赤羽くんは寝起きの声でそう言った。
嫌われてもいい。
私はもともとそういう人間だから。
いつだって、自分のことしか考えられない人間だから。