一匹少女が落ちるまで
【side 理央】
それは数日前。
俺が部活を辞めたあの日から始まった。
「桜庭くん、バスケ部辞めたの?!」
数日前の朝、クラスの女子の1人が大声で言うと、クラス全員が一斉に俺のことを見た。
この注目される視線にはもう慣れている。
小学校高学年くらいから、俺は運動も勉強も『なんでもできる桜庭くん』だ。
元モデルの母さんの血を受け継いでいる、この容姿も含めて。
周りの奴らは口を揃えてこう言うんだ。
『桜庭くんって完璧だよね』