一匹少女が落ちるまで
「クラスメイト…ね…。きみ確か、桜庭くん…だよね?」
「あ、はい」
風間先輩に爽やかに挨拶する。
「雨宮、毎日放課後のこの時間を楽しみにしてるんだよ。だから、あんまり邪魔したりしないでね」
そう言った風間先輩の口元は優しく笑っていたけど、目は全然笑っていなかった。
風間先輩は「じゃあね」と紫月にだけ言うと、図書室を後にした。
「…紫月さぁ」
風間先輩の背中を見送ってから、俺は彼女の名前を呼ぶ。