一匹少女が落ちるまで
「なんでしょうか」
「あいつのこと好きなの?」
赤羽が俺と紫月の間で黙ってノートを取っているなか俺は目線をキャレルデスクの仕切り板に向けたまま、紫月にそう聞く。
「好きですけど」
紫月がそう答えた時、赤羽のノートを書く手が止まった。
「そう…」
紫月の今 発した好きが友達の好きや尊敬してる人に対する好きだって言うことはわかっていた。
だけど。
風間先輩のあの笑っていなかった目を見て、余計ムカついた。
紫月の中で俺は0で、あいつは確実に0以上であることが嫌だった。