一匹少女が落ちるまで


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「「え…」」
「……」


赤羽と紫月、3人で過ごす放課後が始まって数日。


中間テスト前日のこの日、図書室のドアに貼られた貼り紙をみて、3人で固まる。


『本日、図書室は本のメンテナンスのためお休みです』



「まじかよ…テストは明日だぞ?他にもテスト勉強で図書室使ってるやつはいるのに」



俺は慌ててそういう。


俺に比べて紫月と赤羽はいたって冷静だ。


学校内で人目を気にせずこの2人といられた場所は図書室のあの席だけだったのに。


「どうしよう…」


このタイミングでメンテナンスって…どう考えてもおかしいって…。


「…紫月」

どうしようか、紫月に助けを求める。

「桜庭、俺は別にいいぞ。勉強は家でだって…」


赤羽はそう言いかけて話すのをやめた。


きっと赤羽は家で勉強できないんだ。
何が理由かわらないけど。


俺だって家に帰れない。



俺と赤羽は一緒に居場所を失ってしまった。


紫月は…紫月は、放課後過ごしていたこの場所が使えなくなって、困っていないのだろうか。



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