一匹少女が落ちるまで


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『私にとってかけがえのない人だよ』


園子のことをそう話した時の理央の一瞬見せた悲しそうな顔が頭から消えない。


勉強机でテスト勉強する私と、部屋の中央にあるローテーブルで向かい合ってテスト勉強する理央と赤羽くん。


以前まで耳障りだと思っていた声は今、テスト勉強をする私の集中力を一層高めてくれた。



『紫月って、兄弟いるの?』
『なんで幼なじみが紫月の家にいるの?』


理央は私の部屋に入ってからすぐたくさん質問してきた。


私はそれにひとつひとつ丁寧に答えて。



今はもう2時間近く、机にかじりついている。


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