一匹少女が落ちるまで
「しーねーちゃんのこと、好きなの?」
黙っていた星花がそう吐いた。
食卓が少しシーンとなって、離れたリビングではしゃぐ双子の声が響く。
「…うん。好きだよ」
沈黙を破ったのは、理央の優しい声だった。
『好き』
彼にそう言われても、あまりピンとこない。
嫌いならそもそも放課後隣に座ることなんてないと思うし。
それを考えると、やっぱり理央が私のことを『好き』だと言うのはおかしなことじゃない。
それなのに、園子と星花、2人が同じ顔をして固まっているのが理解できない。
「俺も、雨宮は面白いから気に入ってるよ」
そして、赤羽くんがそう言ったとき、やっと園子たちの顔が緩んだ。
2人は「そっちね」「だよね」とボソボソと喋りながら、またロールキャベツを口に運んだ。