一匹少女が落ちるまで


「テストは明日もあるんですから、赤羽くん、油断しないように」


紫月がそう赤羽に言うと、赤羽はなんだか嬉しそうに「雨宮の方がテスト張り切ってるじゃん」と笑った。



他人に全然興味のない彼女なのかと思っていたけど…。

どうやらそれは、俺の勝手な勘違いだったみたいだ。


その証拠に、紫月は俺がバスケが得意だったことを知っていたし、赤羽が去年テストで2位だったことも知っていた。



人に興味がないんじゃない。


人と関わるのが嫌いなんじゃない。


俺が、クラスメイトが、紫月を知らなかっただけだ。



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