一匹少女が落ちるまで
「なんかちょっと、人の気配がして」
「そりゃ、テスト期間なんだし、いつもより人は多いでしょ?」
赤羽がそう言う。
そうだ。
そうだよな。
「あぁ」
まぁ、そうなんだけど。
クラスメイトにこの2人といるところを見られていたらとか、もし、バスケ部の連中なら、山岡なら…。
そう考えると、すごく不安になって。
紫月と赤羽といるのが落ち着くのは事実なのに、2人といることをバレたくないと思っている。
嫌いだ。
汚い。
こんな俺、紫月や赤羽はきっと、好いてなんてくれない。
俺はこの2人のそばにいる資格なんて…。
「誰かに見つかりそうになったら、机の下に隠れたらいいですよ。結構広いですし」