一匹少女が落ちるまで
──────
……
あれから休み時間が終わるまで、俺は図書室のいつもの特等席で時間を潰してから、教室に向かった。
教室のドアをガラッと開けたとき。
バチッと目が合った。
でも、次の瞬間、あからさまに俺から目をそらした女。
なんだ…今の。
教室の後ろ側の席で、城ヶ崎たちのグループの輪の中にいる女。
新山 心(にいやま こころ)。
城ヶ崎のグループに属してはいるものの、大人しくて口数の少ない女子だ。
今まで、彼女とあんな風に目が合ったことなんてないけど…。
だけど、彼女があからさまに俺のことジッと見ていたのは確かだ。
一体…なんなんだろうか。