一匹少女が落ちるまで
「…バスケしてる桜庭くんの姿見れないのは寂しいけど、部活やめたなら放課後遊べたりできるね!」
雨宮をぼーっと見ていると、近くにいた女子が俺にそう言った。
「あぁ、そうだねっ!」
また得意の笑顔でそう言えば、女子たちは顔を一斉に赤くさせる。
彼女たちは、俺が雨宮のように、心の中で思ってることを口にしたら、どうなるんだろうか。
俺のことを嫌いになる?
そんなことを考えると、やっぱり怖くて。
他人を鼻で笑う資格なんて。
きっと俺にはない。
俺もこいつらと一緒で。
表の自分を演じているだけだから。