一匹少女が落ちるまで
「よかったな。友達できて」
「…はぁ?別にただの班だし…」
「はたからみたらいつメンだよ」
伊達の口から「いつメン」なんて聞いて、気持ち悪さが増す。
でも、そんなセリフに少し照れている自分もいて、あー俺おかしいななんて冷静に思う。
「なんで桜庭に俺のこと頼んだんだよ」
「桜庭しかいなかったから」
「はぁ?」
「お前らなんか似てんだもん。くっつけたらいい感じになるんじゃないかと思ってさ」
「カップルみたいに言うなよ」
「そんなつもりないけど。なに、赤羽、桜庭のこと好きなの?」
「んなわけあるかアホ」
「先生にアホとかいうな。来山(くるやま)にチクるぞ〜♪」
「──…っ…!はぁっ?!…誰だよ、そいつ」
俺の体は一気にあちこちから汗をふきだし、それでも俺は平常心を装う。
なんで…伊達の口から絢の苗字が出てくんだよ。
「ま、今を思う存分楽しめ。もったいないぞ〜高校なんてあっという間なんだから。楽しむのもつまらなくするのも自分次第だ」
伊達は「じゃ」と付け加えると、椅子から立ち上がりフラ〜っと消えていった。
なんなんだよ。