一匹少女が落ちるまで
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「──で、赤羽くん。どうして私とあなたは、2人きりで列車になんか乗っているんでしょうか」
運転手のおじさんが「出発しまーす!」と声をかけてから列車の乗り物を動かして少し経つと、隣に座る雨宮がやっと口を開いた。
正直、子供用のこの乗り物に乗ってる人なんて誰もいなくて、ゆっくりした一定のスピードで回る列車にだんだんと恥ずかしい気持ちになる。
「どうしてって…雨宮がずっと見てたから、乗りてーのかなって…」
「…あ、いえ…海斗、弟がいたら、絶対乗りたいって言いそうだなって思っていただけで…」
「えっ」
「…すみません」
いや、別に雨宮が謝る必要なんてなくて、逆に謝るのは早とちりした俺の方で…。
「…わり。 よく考えたらそうだよな」
俺は、小っ恥ずかしくなって、口元を手で押さえたまま、雨宮から目をそらす。