一匹少女が落ちるまで


「…あの時、雨宮が俺にもう一度勉強しないかって言ってくれた時、本当はすごく嬉しかったんだと思う。雨宮たちと一緒に過ごして、少しずつ分かってきたんだ。あー、俺、誰かに言われるまできっと待ってたんだろうなって」


隣の雨宮は黙って俺の話を聞いてくれる。


まさかこいつに、こんなことを言うなんて。


修学旅行で気分が高まってるせいだと言い訳したい。


「俺、1人じゃなんにもできないやつだから。だから、雨宮はすげーと思うよ」



俺は、1人が怖いからそんな自分を誰にも見られたくなくて、学校に行かなかった。



すごく弱くて。

すごく女々しい。



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