一匹少女が落ちるまで
「そっか。新山さんと紫月が友達になれて俺も嬉しいよ。ほら、紫月、普段すげー可愛くないじゃん。無表情で全然笑ったりしないし。だから、友達できないんだよ。だから、ありがとう新山さん」
「…え、あ……うんっ」
新山はそう言って、少し耳を赤くして目をそらした。
「理央っ」
聞きたくなかった声が俺の名前を呼ぶ声がして、俺は渋々振り向いた。
こいつは気付いている。
俺がバスケ部の奴らと、こいつを避けていること。
「…山岡」
「めずらしーな。雨宮と一緒じゃねーんだ」
いちいちうざい。
なんで、話しかけてくるんだよ。
『いなくなってせいせいしたわ、理央』
そんなことを言ったのはお前なのに…。