一匹少女が落ちるまで
「……関係ないだろ」
抑えていた感情がとうとう溢れてしまった。
「え?」
「俺のこと嫌いなくせに、話しかけてくんなよ」
ずっと、思っていたこと。
「は、、?理央、お前何言って…そんなこと思ってるわけ…」
まだいい人ぶってる。
まだ俺と友達なふりをする。
全部がムカつく。
「…いい。言い訳とか聞きたくない。もう関わらないでくれよ」
俺がそう言うと、山岡は少し黙ってから、俺の方に少し歩み寄ってきた。
なんだ?
まだ謝るつもりか?
そう思っていると、山岡が俺の肩を捕まえて、自分の口元を俺の耳の方に持ってきた。
すごく力強くて、痛くて。
でも、その場にいた誰もが、そんな風には見えなかっただろう。
「知ってるから。足、本当は治ってんだろ」
──────っ?!
小声で言った彼の声は確実に俺にしか聞こえていなかった。
山岡はそう言った後、俺の肩をトントンと優しく叩いてから、その場を後にした。