一匹少女が落ちるまで
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………
「……理央?」
ホテルのちょうど真ん中にある渡り廊下で外の空気を吸っていると、大好きな声に名前を呼ばれた。
「紫月……」
「何してるんですか?」
「ちょっと、外の空気を…。紫月は?」
「なるほど。私は…なんかああ言うの苦手で」
「そっか」
「…隣、いいですか?」
紫月のその声に、ドキッとする。
「あぁ」
俺がそう言うと、紫月は遠慮がちに俺の隣に立ってから、俺と同じようにここから見える夜景を見つめた。