一匹少女が落ちるまで


「なんであいつらのこと2人きりなんてしたんだよ」


イライラしたように聞く赤羽くん。


「なんでって…新山さんが…2人になりたいって」


「はぁ?」


そう言って、赤羽くんは大きくため息をついた。


なんで赤羽くんの方が疲れた顔をしているんだろう。


昨日の夜から、疲れているのは私の方なのに。


色んなことを考え過ぎた。


ううん、違う。


理央のことを、考え過ぎた。



あのキスは、最初図書室で出会った時と同じ『暇つぶし』のためにからかったのだろうか。


「あのさ、雨宮は嫌じゃねーの?」


「え?」


「桜庭が自分以外の女子と仲良くすんの」


こちらをジッと見ている赤羽くんの目は私を逃さないように鋭いけど優しい目をしてる。



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