一匹少女が落ちるまで
だから俺は。
雨宮の横顔を少し見つめてから彼女の唇に、自分の唇を重ねた。
こうでもすれば、こんな地味メガネでも俺に落ちるだろう。
そう思ったのに。
「別に…なんとも思いませんでした」
彼女は簡単に俺の予想を裏切ったんだ。
「…どうでもいいです」
彼女にそう言われて、もう10分くらい経つ。
俺は、雨宮に話しかけるのを辞めて隣で数少ない絵本を開いて読む。
何やってんだ…俺。
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