一匹少女が落ちるまで


「え…園子、なんで笑って…」


「フハハッ。いや、ごめん。我慢しようと思ったんだけど、できなかった」


そう言って、また笑い出す園子。


真剣に話を聞いてくれると思ったから、話したのに…。


「…なんで、笑うのよ」


「いやいやごめんごめんっ!ただ…」


笑うのをこらえて、息を整えてからそういう園子。



何が面白いのかさっぱりだ。



「紫月の感情が、今までよりすごく表に現れるようになったから、嬉しくてつい」



「嬉しい?私、そんなに顔に出てるかな?」



「うん。出てるよ。今まで、私が紫月をちょっとからかっても動じなかったじゃん。だけど、今はすぐにムキになったし、そういうのが嬉しいなって」



「……別に私は…」



「私の予想ではね、紫月」



「ん?」


突然、真剣な目になって、私の両手を掴む園子。




< 258 / 487 >

この作品をシェア

pagetop